店はまもなく完成した。

ぴかぴかの店内に並んだおいしそうなケーキ。

ガラスケースの向こうに立つ、誇らしげな父。


開店した日、たくさんのお客がやってきた。

昇が宣伝した友達も来てくれて、ガラスケースの中を吟味するように覗き込んでいた。

開店した日、手伝いに出ていた昇は、友達の姿を見つけて話し掛けた。


「来てくれたんだ。ありがとな」

「おじさんにはよくケーキ食べさせてもらったし、
俺らも応援するよ」


にかっとした笑みを浮かべた友達に昇も笑みを返す。


「でも、人すごい来てるじゃん!いけるよこれなら」

友達は店内をきょろきょろと見回しながら言う。

昇もつられて目をやった。

確かにたくさんのお客で、店内は少し窮屈に感じる。


「おじさんにもよろしく言っといてな」

ケーキをいくつか買っていった友達を見送り、昇はまた店の手伝いに戻った。