父の趣味のおかげで、ケーキは大好きになった。

毎回違うケーキを作ってくれるので、父の休みをとても待ち遠しく感じた。

何より、父のあの嬉しそうな顔を見るのが好きだった。



ある日、学校に登校していった昇は、隣の席に座っていた女子に話し掛けられた。


「昇くんってなんだか甘い匂いがする。なんでー?」

「え?甘い匂い?なんでだろ…」


くんくんと自分の体を匂ってみたが、そんな甘い匂いはしてこない。

そんなことをしていると、クラスの男子も少し集まってきた。


「何してんだよー」

「昇くんから甘い匂いがするの」

女子に言われて、寄ってきた男子も、昇の匂いをかいでみる。


「あっ、ほんとだ」

「なんかこれケーキの匂いじゃない?」