「今回のは自信あるんだけど、どうかな」


持ってきたケーキをテーブルの上に置くと、急に小さく身を固める父。

早く食べてもらいたくてそわそわしているのだ。

ケーキを切り分けてそれぞれ小皿に分けると、母はすぐに口のほうに運ぶ。

目を閉じて、味わうように食べる母を、
不安そうに眺める父。

ごくんと母が飲み込んだので、次の言葉を父は待った。


「ん、おいしい」

母はフォークを手にして次のものを口に運び始める。

その様子に父は安心したように体の力を緩め、こちらを向いた。


「ほら昇、どうだ?
お母さんの合格の出たケーキは」

「うん、おいしいよ。
こんなの、作れるなんて、父さんすごいよ」

「そうかぁ」


口をもぐもぐさせながら返事をすると、父はくしゃりと頭を撫でてくれた。

それには昇も笑顔で返すのだ。