昇が聞いてくれるので、友香は自然と家であったことを話していた。

昇はただ相づちを打つだけだったけど、ちゃんと聞いてくれて、それが嬉しくて、すべて口に出した。


「…聞いてくれて、ありがとう」

「…うん」

「少しだけ、楽になったかもしれない」


話し終えてから、ずっとうつむいていた顔をあげた。

昇のほうをためらいがちに見ると、昇は何かを考え込むように下を向いていた。


「昇、」

「何?」

「どうかしたの?」


昇の変化に、自分のせいかと慌てて声をかける。


やっぱり、話さないほうがよかったのかな…


「宮内、」

「は、ぃ…」

「俺の父親が、自殺した、って話、覚えてる?」



突然昇がそう言ったので、なんと反応すればいいのか分からなくて頷くだけした。


「あの話、聞いてほしいんだ」

「話して、くれるの?」


また、昇に嫌な顔をさせてしまうのではないかと、友香は聞き返す。


「…宮内には、聞いてほしい」