「私の夢、覚えてる?」

「歌手、だったよな?」


友香は声を出さずに首だけ縦に振る。


「その夢…もしかしたら諦めるかもしれない」


悲しそうな声で、友香は振り絞るように話す。


「なんで、諦めんの?」


友香の口から、“諦める”なんて聞きたくなかった。

うつむきながら、友香は家であったことを話しだした。

少しだげ声が震えていた。