会う場所を決め、電話を切ると、昇は急いで約束の場所に向かった。

図書館の近くにある公園。

友香はまだ来ていない。

ベンチに腰掛けて、友香がやってくるのを待つ。

図書館のある方向、つまりは友香がやってくるであろう方向を向いてぼぉっとする。


しばらくすると、制服姿の友香が走ってきた。


「昇、ごめん!遅くなっちゃった…」

「いいよ、そんなに待ってないし。それよりなんで制服?」


友香は少し恥ずかしそうに視線を下にさげて、


「私服、着てたんだけど、着替えてきた」


とカバンの中を指し示す。

だから遅れたんだけど、と申し訳なさそうに友香が続ける。

友香はこちらを見て、どうしようかと目を泳がせていた。


「座れば?」

いい言葉が思いつかなかったので、簡単にそう言うと、
友香はおずおずといったように、ベンチにちょこんと腰をおろす。


風が、2人の頬をなでた。