それからしばらくはメールも受信することなく、とても静かだった。

図書館ってこんなに静かなんだな、とぼぉっと時間が過ぎるのを待った。


たまには、こうやって暇をもてあますのもいいかもしれない。


選んできた本をまた開いてみて、今度は読めそうだったので目を通してみた。

読んでみると意外におもしろく、友香は時間を忘れるほどに没頭して文字を追っていた。

読みおわる頃には、もう学校も終わる時間になっていて、1日時間を潰せたことに内心喜んだ。

もう少ししたら着替えて帰ろう、と読んでいた本を手にしたまま立ち上がる。

すると、タイミングよく机の上の携帯電話がバイブを鳴らしだし、友香は反射的にそちらに目をやった。

恵利子からだと思ったそれは、知らない番号を表示し、無機質に鳴り続けていた。

一瞬迷ったが、携帯電話を手に取って、恐る恐る電話に出た。


「…もしもし」