「どう思う」

瀬尾の事情聴取を終えた後、倉本は巽に言う。

「行動心理実験って奴でしょう?」

巽も倉本と同じ点が気になったようだった。

今回の事件では、大学の材料工学科教授にも小包爆弾が送りつけられている。

瀬尾が大学時代のこの実験で心理的拷問体験や隔離入院を経験させられ、その事に恨みを持っているとしたら…。

大学教授に対する報復という考え方は出来ないだろうか。

逮捕術を習得している警察官で、爆発物処理班員、教授に恨みを持つ人物。

今回の事件の爆弾魔と、共通点は多いという事になる。

「まだ決定的じゃないスけど…もう少し洗ってみますか?」

身を乗り出す巽だったが。

「いや」

倉本は彼の肩を摑み、親指でカレンダーを指差した。

12月24日。

「今日は自分だけでやる。お前は帰れ」