「不愉快な思いをさせちまってるな」

警視庁内の取調室。

巽と倉本は、爆発物処理班の班員と話をしている。

「仕方ありません。逮捕術を使う犯人、しかも爆弾魔とくれば、我々が真っ先に疑われるのは当然の事です。僕だってそうしますから」

彼はそう言って、大人しく事情聴取に応じた。

氏名は瀬尾 寛治(せお かんじ)。

年齢29歳。

警視庁爆発物処理班所属。

学業は天才的な優秀さで、地元で知らぬ者はいないほど。

15歳の時には、上級数学コースを高校で受講しており、ラプラス変換などを勉強していた。

飛び級により、16歳で大学に進学。

大学時代、CIAでスパイ養成を行っていた心理学者の教授による行動心理実験の被験者となった経験がある。