「今夜は帰って、ぐっすり眠るといい。診療所まで送っていく」

車の所まで連れて行こうとする倉本だが。

「へ、平気よこんなの」

美奈は気丈に振る舞って見せた。

「血や怪我人なんて見慣れてるわ。私は医者なのよ?この程度で怖気づくほど弱い女じゃないわ。貴方だって知っているでしょ?倉本さん」

「……」

「やめてよ、可哀相な人見るような目で見ないで。ホントだってば。流石に今日のはあまりに突然だったからびっくりしただけ。別に怖くもなんともなかったし」

「美奈さん」

「それよりムカつくわよね、犯人の奴!さっさと捕まえてとっちめてやってよね、倉本さん。クリスマス近いのにケチつけるなんて、絶対恋人いなくて独り身の奴よね!って私もおんなじか!」

弱さを隠すようにまくし立てる美奈。