それにしても。

「はぁ…」

美奈は溜息一つ。

今年もまた、クリスマスは1人で過ごす事になりそうだ。

診療所を引き継ぐ前は救急病棟に勤めていた。

だから、多忙の為に彼氏など作る暇がないという言い訳が出来たのだ。

が、時間が出来たら出来たで、やはり彼氏は出来ない。

これはどうやって言い訳したものか。

彼女とて、いつまでも20代ではないのだ。

友人達は次々に結婚していっている。

そろそろ彼氏の1人も作らないと格好がつかないというものだ。

「全く」

眼下を通り過ぎていくカップルを見送りながら、美奈は愚痴をこぼした。

「朴念仁め」