BEAST POLICE年末特別警戒スペシャル

「で、怪我はなかったのか」

捜査に加わっていた巽が、環に問い掛ける。

「私は大丈夫ですけど、マネージャーさんが…」

環は瞳を潤ませながら俯く。

封筒を開封してしまった不運なマネージャー。

失ってしまった左手親指は、元には戻らないだろう。

「何か恨みを買うような覚えは?」

環がそんな娘ではないとは知っているが、念の為に訊いてみる。

「彼女が恨みなんか買う筈ありません!絶対にアイドルとしての成功を逆恨みしている人間の犯行です!」

事務所の社員が、環の代わりに答えた。

巽にも異論はない。

ただ、彼女はそのルックスと人気故か、犯罪者に狙われ易い。

過去にも何度も犯罪に巻き込まれ、巽がその窮地を救ってきたのだ。