丁度その時だった。

「倉本さん、ここにいたんスか」

息を乱して巽が診療所に入ってきた。

「さっき警視庁に沖縄県警から連絡がありました。管轄内で万引きが相次いでいるらしいんスけど、その盗難品が臭うんス。乾電池やワイヤー、磁石、火薬…生活必需品や食料品は一切手つかずで、そんなもんばっかり盗まれるらしくて」

「場所は」

「沖縄県の奥武島です」

「……」

巽の知らせに、倉本は黙考し。

「美奈さん」

突然立ち上がったかと思うと、美奈の両手を握り締めた。

まるで思春期の女子中学生のように、ドキンとする美奈。

「貴重なヒント感謝する。君のお陰で、捜査が進展するかもしれない」