信じられない!

万が一撃たれた衝撃で瀬尾が起爆スイッチを押してしまったら、本当にこのフロアごと吹き飛んでしまうというのに!

このプラスチック爆薬は、ダミーでも何でもないのだ。

それでも発砲する巽に、瀬尾は一種の狂気すら感じた。

逃がすくらいなら共に死ぬ。

そこまで職務に殉じる執念を、恐ろしいと思った。

やはり警察において、最大の敵はあの2匹の野獣!

「くっ!」

瀬尾は咄嗟に走り出し、銃弾を掻い潜りながら、部屋の窓へと飛び込む!

ここは4階だ。

落ちれば只では済まないと思われたが、幸か不幸か、彼の体は外の街路樹に引っ掛かり、それがクッションとなって重傷を免れる。