ひとみ




「えぇ~、それ怖くないし、知ってるぅ~」

ひとみさんはボクに向かってそう言い放った。

「それより、別のオチがある話知ってる?」

ボクは首を横に振った。

「えぇとねえ、途中までは一緒なんだけど、『お父さん』て呼ばれたら、翌日『なぜか』隣の家のおじさんが死んでたのってやつ」

ボクがポカンと不思議そうな顔をしていると、彼女はイラついたように言った。

「だからぁ、その子は、『お母さん』と『隣のおじさん』の子供だったってオチよっ!」

ひとみさんの言葉に、ふと疑問が湧く。

「ひとみさん、根本的にそれ、怪談じゃなくて、笑い話でしょ?」

ボクの言葉に彼女は逆ギレ状態で食いつく。

「だって、駿平君の話、つまんないんだもん」

さすがにボクも頭にきたので、言い返した。

「それなら、ひとみさんがなんか怖い話してくださいよ」

「私は怖い話なんて知らないわよ。責任持って駿平君が怖い話してよ」

まるで子供の喧嘩だ。

ボクよりひとまわりも年上の人間の言葉とは思えなかった。

よし、わかった、やってやるさ。
その代わり、後で泣いても知らないぞ。

内心、ボクは開き直った。
そして、ずっと封印していたとっておきの話を淡々と語ってやった。