ひとみ




ボクは夕飯を食いながらも、恥ずかしさのあまり、ひとことも口がきけなかった。

だって、見られてしまったんだ、まだ誰にも見せたことないのに。

思い出しただけで、頭がふらつきそうになる。

そりゃ、あれは事故だって事ぐらい、ボクにもわかるけど、理屈と感情って別物であるわけで。

そんなボクを見かねたのか、ひとみさんは食後の一服をしながら言った。

「駿平君、気にしすぎよぉ。私、全然気にしてないし。それに、立派なモノなんだから、もっと胸張って堂々としなよ」

それって、慰めてるつもりなのだろうか。
いや寧ろ、恥ずかしさが増大する。

「それにさぁ、駿平君だって、私の裸見てるじゃない。ねっ?お互い様ってことでさ」

その言葉に、ボクはひとみさんの裸を思い出してしまった。
しかし、あれは、アナタが勝手にボクに見せただけで、見られたわけではないと思うのだが。

まぁ、正直、いつまでも悩むことでもないから、ボクは彼女の言葉にコクリと頷いた。
それを見て、ひとみさんは満足そうに、鼻からタバコの煙を吐き出した。

「それにしても、停電なんて思いもしなかったわ。懐中電灯とか、ろうそくとか、わかりやすいところに置いておかないとね」

彼女はふと思いついたように口を開いた。

「懐中電灯は玄関にあるけど、ろうそくなんてあったかな?」

ボクはそう言いながらふと、あることを思い出した。

「そういえば、いつだかもらったアロマキャンドルがあったっけ」

ボクの呟きを聞いてひとみさんは大笑いした。

「停電の時にアロマキャンドルもないでしょ!あっ、でも、意外と香りで気持ちが落ち着いたりして」