「えっ!停電ですか?とりあえず、ボク、もう出ますから、脱衣場から出て行ってください」
さすがに、真っ暗な中いつまでもシャワーなど浴びていられない。
おまけに、夕立のせいで外も真っ暗で、全くもって闇になっている。
「駿平君、出口がわからないよ」
情けない声が脱衣場から聞こえた。
「ボクの声の反対側が出口ですから、手探りで出て行ってください」
ボクはそう言いながら、浴室の扉を開けた。
脱衣場も真っ暗でどこになにがあるかさっぱりわからない。
手探りでバスタオルを探してみるが、なかなかみつからない。
そんなこんなしてると、足もとから声が聞こえた。
「駿平君?」
明らかにひとみさんの声である。
「ひとみさん?そんなとこでなにしてるんですか?早く出て行ってくださいよ!」
ボクは今、全裸である。
そして、ボクの足もとに彼女がいるらしい。
「暗くて雷が怖くて、立てなくなった」
情けない彼女の声が、下の方から聞こえる。
「と、とりあえず、は、早く出て行ってくださいよ!ボク、全裸なんですから!」
ボクは必死に言った。
しかし、それが彼女にはツボだったのか、足もとから聞こえる彼女の声は笑っていた。
「大丈夫よ。真っ暗でなんにも見えないから」
ケラケラ笑っていやがる。
なんだよ、さっきまで暗いの怖いとか言ってたくせに。
などと、内心毒づいていると、突如まわりが白い光に包まれた。
停電が直ったようだ。
暗順応していた目が次第に回復していく。
それと同時に、足もとから、聞き慣れた声が聞こえた。
「ほほぅ、ダンナ、いいモノ持ってますなぁ。こりゃあ、いい仕事しそうですなぁ!」
ひとみさんは、ボクを見上げてニヤニヤ不穏な表情を浮かべた。


