普段、明るくというか、無茶苦茶に振る舞っているひとみさんからは想像もつかない言葉だった。
もしかしたら、そんな振る舞いは、彼女の寂しさの裏返しというか、それを隠すための行動だったのかもしれない。
ボクはなんて言葉を発していいのかわからなかった。
「ごめんねぇ、つまらない話しちゃってさ。駿平君にとっちゃ、迷惑な話だよね、ごめん」
いつにない、弱々しい彼女を見て、ボクはなんか、つらかった。
「ひとみさん」
ボクは意を決し心の内を口にした。
「家族のいない寂しさは、ボクも少しはわかりますよ。ほら、ボク、生まれてすぐに母が出て行ってしまったし。それに父親はあんな感じだから、おかげで小学校の頃から寮生活だったし。家族との思い出ってほとんどないんですよ」
そう言って、彼女の方を見た。
「小学校の運動会にしても、いつもひとりでお弁当食べてて、正直、家族と楽しそうにしている友達がうらやましかった。だから、ボクは寂しさから逃げるために、子供ながら周りの世界と距離をとって、自分の内側に閉じこもっていた。おかげで、こんなつまらない人間になっちゃったけどね」
ひとみさんの頬に涙が一筋流れていくのが見えた。
「駿平君はつまらない人間なんかじゃないよ。私、キミとここで暮らしていて楽しいもの。自分をそんなに卑下しないで。もっと自分に自信を持ってね」
そう言って彼女は天井を見上げた。
「あぁ~。なんか湿っぽい話になっちゃった」


