「はぁ~い」

ボクは気だるく返事をしながら玄関の鍵を開けた。
そして、間髪入れず暫くフリーズした。

まず最初にネコのようにまん丸で大きな瞳がボクの視界に飛び込んできた。
次に限りなく赤に近い茶色の髪の毛。
そして、燃えるように赤い真っ赤な唇。
そして筋の通った鼻と小さな顔。

ん?は、派手な女のひと?

そして、視線を少しばかり落とすと、そこには豊かなふたつの膨らみが………
その膨らみは服で半分ほど覆われているものの、ボクが目眩を起こすには充分過ぎるほど刺激的だった。

ボクはほぼ思考停止の状態で、玄関の扉をそのまま閉めた。
そして、無意識のうちに鍵を掛けていた。
カチリと無機質な音が響く。

ボクは床にしゃがみ込み大きく深呼吸をした。
そして、自分の置かれた状況の確認に努めようとした。

しかしそんな余裕を作る間もなく、再び呼び鈴が鳴らされた。
しかも連押しされているようで、異常なピンポン音が家中に鳴り響いている。

だが、暫くすると呼び鈴の連打は鳴り止んだ。

そして次にドアノブをガチャガチャと回す音が聞こえる。

な、なんなんだよぉ

暫くすると諦めたのか、ドアノブを回す音は止んだ。
だが次の瞬間、カチリと普通に鍵が開けられた音が僕の耳に届いた。