あぁ~、ため息で目覚めを迎えるなんて、最悪だ。
なんの因果で、あんな訳わからない人と同居しなきゃならないんだよ。
うっ………
口の中が、なんとも言えない不快感でいっぱいだ。
夕べの酒のせいかな?
とりあえず、歯を磨くか。
胃のむかつきとか、頭痛とかを特に感じていないところを考えると、いわゆる二日酔いではないらしい。
初めての酒のわりに、失態を見せなかったのはボクの肝臓のなせる技なのか、それとも、ただ単に生まれもった酒の強さなのか……
そんなくだらないことを考えながら歯ブラシを口の中で踊らす。
スッキリしない頭も、歯磨き粉のミントの味で覚めてきた。
コップに水を汲んでガラガラと口を濯ぐ。
そんな時、背後から声が聞こえた。
「おはよう、駿平君」
うがいをしながら、ボクは鏡越しに自分の背後を伺った。
ガラガラガラ………ゴックン………
自分でもハッキリと口の中の水を飲み込む音が聞こえた。
「あらぁ、駿平君、うがいした水飲んじゃうんだ。変わった人ねぇ。普通吐き出すものじゃない?」
背後から気だるそうな声が、ボクに言った。
ボクは振り返って勢いよく言った。
「ひとみさん、なんて格好で歩き回ってるんですか!」
振り返ったはいいが、そこでボクは目のやり場に困ってしまった。