試合が始まる時間になり、
体育館中にピーとホイスルの音が鳴り響く。
赤色のゼッケンをきて、
永遠先輩と健先輩は試合に出る準備をしている。
そんな健先輩を見て
隣でキャーキャー言っている咲良。
こんなキャラだったっけ。
昔から彼氏には尽くすタイプではあった咲良だけど
ここまでなってるのは初めて見た気がする。
そんな事を思っている間に
試合が始まり走り出す先輩達。
周りの観客は今までにないくらいに
キャーキャー言っている。
やっぱり永遠先輩が試合に出ているからかな。
走っている永遠先輩。
あんなに速く走れるんだ…。
ボールを軽く相手から奪い、
ゴールまで持っていき、健先輩にパスをつなぎ
シュートを打つ。
2人の連携プレーは最高。
うまい具合にシュートが入り、
周りは盛り上がる。
「咲良ちゃーん!」
笑顔で手をふり、試合に戻る健先輩。
咲良が入っていたように
名前を叫び注目を浴びる咲良。
そんな咲良は満更でもないように
笑顔で手を振り返す。
そして健先輩は満足そうに笑顔で
試合に戻る。
そういえば昔私にもこんな感じのこと
あったっけ。
玄也が試合のたび見に行って、
点を取るたびに私の方見て、
笑ってくれて…。
不意にそんな事を思い出して
私は少し気持ちがモヤモヤしてしまい、
先輩達の試合を見ることができなくなってしまった。
あぁ。
なんだろう。
なんでだろう。
泣きそうだ。
「危ない!」
周りからのその声で
私はハッと我に帰る。
咲良の方に思い切り飛んでくる
バスケットボール。
私はとっさに咲良を抱え込むように
抱きしめた。
ドンっ!!
「いった…!」
「ひよ!大丈夫!?」
本当に焦りながら
とっさに私を見る咲良。
ボールが当たったのは私の肩。
飛んできたスピードが速すぎたってこともあって激痛だった。
痛さを堪えて、しゃがみ込む。
「日和ちゃん大丈夫!?」
健先輩が心配して私の元へ駆け寄る。
わまりの観客の人たちも私の周りに集まる。
心配かけちゃいけない。
そう思って私はヘラッと笑って
「大丈夫!」
そういうしかなかった。
肩は尋常じゃないくらい痛い。
私の事を心配して咲良は泣き出しそうにしている。
私は大丈夫だからって一言。
「健、どいて。」
「わっ!」
ひょいっと私の体が宙に浮く。
「と、永遠先輩⁇」
「保健室連れて行くから
代わりに誰か試合出てて。」
気づけば私は永遠先輩に
お姫様抱っこされていた。
「だ、大丈夫です!」
恥ずかしい。
何より
渡りの女の子達からの目が痛い。
私はジタバタと降ろしてもらえるように
動いたけど、
ズキッとくる肩の痛みのせいで
動きと顔が鈍る。
「咲良ちゃんも、
健の試合見てあげてて。
俺がいない間ヘマしないように。」
「はいっ!」
咲良は私を心配しながら
永遠先輩の言う事を聞く。
私は結局降ろされることのないまま、
保健室へと連れて行かれた。
「瑞希ちゃん…っていないのかよ。」
保健室のドアは開いていた。
だけど瑞希先生の姿はなく
誰もいないようだった。
永遠先輩は私をベットの上に下ろし、
シップなどを探してくれた。
「先輩、私もう大丈夫です。」
そう言ってもシップを私の元へと運び
ボールが当たった箇所を確認する。
「見せれる?」
「え?」
「当たったとこ。
体操服脱がなくちゃ見れないとこだから
無理には見ないけど。」
ボールが勢いよく当たったところは肩。
確かに体操服を脱がなければ
よく見えないところだった。
体操服の下にはキャミソールを着てるから
別に見られても大丈夫ではある。
私は肩が見えるように
体操服を半分脱いだ。
「痛いなこれ。」
