玄也は優しいから。
そう私は笑った。
「風邪引いてないといいんですけどね。」
「まぁ、玄也だから大丈夫だろうけどね。」
確かに。
玄也は昔から雨の日とか
わざと傘をささず走って帰るようなやつだから。
そういや、その度に
洋服とかびしょびしょになって
おばさんに怒られてたりしてたっけな。
思い返してみたら、笑ってしまった。
「何笑ってんの。」
少し引いたような顔で
私を見てきた永遠先輩。
「ちょっと。」
私は笑うのをやめ
再び永遠先輩の後を追いかける。
「今日も放課後勉強する?」
「先輩がいいなら!」
「俺は構わないけど。」
教えるだけだし。
と、いつものように少し冷たい反応。
初めては怖いなんて思ってたけど
むしろ今はそんな冷たい反応も
先輩の優しさにも見える。
「先輩ってもう少し優しく言えないんですかね?」
「は?」
「そんな冷たそうに言わなかったって
いいのにさーって!」
「…。」
あれ…無視?
永遠先輩は少し歩くスピードを落とし、
私の歩幅に合わせる。
何か私悪いこと言ったかな…?
「それ、言われたの2回目。」
「え?」
「もう少し優しくって言われたの。」
あ、そういうこと…。
私以外にも同じこと言ってる人がいたんだ。
「いつも一緒にいるお友達さんから?」
「いや、彼女。」
どきっ。
びっくりしてしまった。
まさか永遠先輩の口から″彼女″なんて
言葉が出てくるとは思わなかった。
やっぱり
彼女がいたこと隠してたわけではないんだ。
「いたんですね、彼女さん」
「うん。」
いるのはわかってたことだし、
先輩の外見からしていないことの方が
不思議だ。
だけどなんでか動揺してしまって
私は何を話せばいいのか悩んでしまった。
「何?」
私の動揺に気づいたのか
少し首を傾げ私を覗き込む。
「俺彼女いないように見えた?」
「いや、いるとは思ってましたけど!」
「そう。」
ふっと軽く笑う永遠先輩。
「俺のこと好きになんてならないでね。
俺には彼女いるから。」
先輩は急にそんなことを言ってきた。
少し今までにない俺様な発言。
なんか、
なんでか負けたような気がする。
(何にだよって話だけど)
だから私も負けじと
「大丈夫です。
私も彼氏いるんで。」
強気でそんな事を答えた。
お互いに顔を見合わせ、
にこりと微笑む。
「てか、もうすぐ3時間目だけど。」
「え!もうそんな?」
「昼飯でも食べていこうか。」
