年上な彼と年下な私



「あ、傘忘れた。」

「一緒入る?」

「お、ラッキー!」



3年生の教室から
私の靴が置いてある玄関まで
いつもと同じように
他愛もない会話をしながら歩いた。


私は靴箱の中に入ってた靴を取り、
傘立てにある薄い水色の傘をとった。



「あ、そっか。」

「ん?」



私は玄也の靴を見た。

玄也の靴はまだ中学の指定靴。
そして私の靴は茶色ローファー。


そっか。

そっか。



「玄也と私1歳違ったんだったね。」



忘れていた。
ただ、学校が違うだけで
1つも歳の差があるなんて忘れていた。



「俺一応年下だからね!」



優しくしてよね。
そう言って私に手を伸ばす。

優しく笑う笑顔が
私の胸をときめかす。


やっぱり、好きだなぁ。


そう思った。

私は玄也の手をとり
傘をさして一緒に歩き出す。


一緒に歩いていると
私が持っていた傘を取り、
玄也が持ってくれた。



「私が持つよ?」

「いいよっ。
俺が持ちたいの。」



そう言って濡れないように
私のほうに傘を向けて自分は少し傘から
はみ出るようにさす。


玄也の優しいところ。



「あ。」

「ん?」

「永遠先輩に参考書返すの忘れてた!」



先週から借りっぱなしだった。
ついつい忘れてた。



「…。」

「まだ永遠先輩教室いるかな?」



振り返り、私が足を止めた瞬間。
玄也は空いている方の手で私を掴んだ。


私はびっくりして
玄也の方を見る。


私を寂しそうに見つめ、
そしてその反面何か怒っているかのような顔で
玄也は私を見る。


初めてだ。
玄也がこんなことをして、
こんな顔してるの見るの。



「玄也?どうしたの?」

「…。」

「ん?」



ヤキモチ…かな?
でもいつもと様子が違う。

いつもなら、
私がバカにしてしまうくらいの
余裕のあるヤキモチ。



「怒ってる?」

「…明日でいいじゃん返すの。」



寂しげな怒った表情から一変、
ケロッとまた表情を変える。
さっきの教室の時みたいに。



「うん…。」