「すいませんっ。」
「普通気づくでしょ。」
ニヤッと馬鹿にしたように
上から見てくる永遠先輩。
こういう時はこの人
本当調子に乗る。
「…日和っ。」
「へ?あ、なに?」
玄也に名前を呼ばれ、
玄也の方を見る。
「…。」
呼んできたのは玄也なのに、
なにも言ってこない。
と、言うか
言いたいことはありそうなのに
なにも言わない。
そんな感じだった。
「玄也?」
「…雨ひどくなりそうだし、
早く帰るぞっ!」
ケロッといつものような笑顔で
私の荷物を持ち、立ち上がる。
私の気のせい…だったのかな。
何か言いたげに見えたのは。
「じゃあ、永遠先輩また!」
「うん。
日和ちゃんも玄也も気をつけてな。」
「そういう先輩こそ。」
「俺は、迎えが来るから。」
迎えが来る。
この言葉はきっと彼女さんが
迎えに来てくれるんだ。
永遠先輩には直接
彼女のことを聞けずにいる。
だけどこの前
私に勉強を教え終えた後、
永遠先輩は珍しく私よりも先に校舎から出た。
その時帰る準備を私がしていたら
ここの教室の窓から見えたんだ。
校門前。
白い自動車の前に立つ女の人。
すらっとしてて、まさに大人の女性。
その人のところに少し小走りで
駆け寄り、話す永遠先輩の姿を。
あ、この人なんだ。
この人が彼女さんなんだって思った。
よく顔は見えない。
だけどぼんやり、
永遠先輩もその女の人も
笑ってる姿をが見えた。
きっとあの人が今日も
永遠先輩を迎えに来るんだろうな。
「じゃぁ、先輩おつかれさまです。」
「おつかれ。」
