「永遠先輩のそういう優しい所、
私は嫌いじゃないです。」
優しい言葉で、少し照れたように
俺にそう言ってきた。
ふわっと風が空いていた窓から吹き、
乱れる髪。
その髪を整えらために伸びた
日和ちゃんの左手。
…。
俺は無意識に右手が
日和ちゃんの頬に伸びていた。
柔らかくて、少し暖かい感触が
手に伝わる。
そして徐々に俺と日和ちゃんの
顔の距離が縮まる。
少し甘い香水のような匂いが
日和ちゃんがする。
「と、永遠先輩?」
「…あっ。」
俺はふと
我に返った。
何してんだ俺。
頬に触れていた右手を離し、
少し後ずさる。
「…」
「…」
お互い、変な間が起こる。
「あ、そ、そろそろ部活終わるかも!」
「え?あ、そうだな。」
「じゃ、じゃぁ!
また勉強教わりに行きます!
そろそろ行きますね!」
机の上に置いてあった勉強道具を
急ぎながら片付ける。
そしてじゃぁ!っと
一礼し、教室から小走りで出て行った日和ちゃん。
俺は手を振った。
「何やってんだ。」
ぐしゃっと髪を乱暴に触る。
何やってんだ本当に。
自分が日和ちゃんにした今さっきの行動が
頭の中を駆け巡る。
「…。」
そして、
それと同時に陽奈ちゃんの顔が浮かぶ。
でもその陽奈ちゃんは
今の陽奈ちゃんじゃない。
高校時代の陽奈ちゃん。
「似てた…。」
あの日の陽奈ちゃんに
そっくりだった。
俺と付き合った時の
あの陽奈ちゃんに…。
「バカだな俺。」
ふっと笑い天井を見る。
本当に何やってんだろう俺…。
顔が少し、
火照っている。
