いいね。
その言葉だけを言って私の前を再び歩き出す。
なにがいいね。なんだろう。
私には分からない。
ずっと不思議に思って
私は永遠先輩の後ろを歩く。
ポスターをすべて張り替え、
教室へ戻る。
「もう帰っていいよ。
今だったら間に合うんじゃない?」
「へ?」
「彼氏君。
委員会のせいでデートできなくなってたんじゃないの?」
違った?と疑問系で私に問いかけてくる。
私はただただ
永遠先輩の言葉に戸惑った。
「でも帰ったら先輩1人で仕事しないといけないじゃないですか。」
「ん、俺は別に。
あと少しだけだし、日和ちゃん手伝ってくれたからもう終わるよ。」
持っていたプリントの空白の欄に
先輩は何かを書き出す。
多分委員会に提出するぶんだろう。
「でも、申し訳ないし…。」
確かに早くは帰りたい。
今だったら玄也とのデート電話かければ間に合う気もする。
だけど、
先輩に全部放り投げて先に帰るのは
腑に落ちない自分がいる。
「大丈夫だよ。
俺は1人でもできるし。」
「いや、全部手伝っていきます。
中途半端に帰るのも申し訳ないし。」
私は先輩の元へ行き
手伝おうとした。
すると先輩の手が止まり
私の目をじっと見つめた。
「な、なんですか?」
私の問いかけに
なにも言わないままずっと見てくる。
恥ずかしくなって目をそらそうと
してみたけど、
なんだかそっちの方が恥ずかしくて
私もじっと見つめた。
「彼氏君幸せ者だな。」
先輩は急にそんな事を言ってきた。
「なんで…。」
「こんな人のためにしてくれる彼女なら
絶対に彼氏のためにもできる彼女だろうからさ。」
再びプリントの方に視線を変え、
書き出す先輩。
単純なのかもしれない。
だけど、私は今の言葉が褒め言葉に聞こえた。
少し嬉しくてつい顔がにやけてしまった。
永遠先輩って
意外と嫌な感じの先輩じゃないのかもしれないな…。
