年上な彼と年下な私

名前はいつ知ったのか覚えてない。
でもなんでか俺のクラスでは人気な子で、
彼女のことを聞かないことはあんまりない。


でも彼女は
彼氏いるとかなんだとか
クラスの奴が言ってたっけ…。


俺がそんなことを思いながら
じーっと彼女のことを見つめてると、


「見ていてすいませんでした!」


彼女はバッ!と頭を深々と下げ
ダッシュで俺の前から逃げていこうとした。


「え、ちょっ!」


俺は声をかけた。
だけど声をかけるのが遅くて
彼女はすぐさま消えてしまった。

なんだったんだあの子…。

俺は少し面白くて
ついつい笑ってしまった。


日和ちゃん。


「もうしっかり覚えたな。」


RRR...♩


手に持っていた
ケータイが鳴る。

電話だった。


「はい。」

『永遠君!仕事早めに終わった!』

「あ、お疲れ様。」


明るい可愛げのある声が
ケータイ越しに聞こえる。
俺の大好きな声だ。


荒木 陽奈〈ヒナ〉
俺の彼女だ。


『今学校?
ちょっとデートしよ〜!』


ちょっとなんて言っておいて
どうせ、
いつも夜まで一緒にいるじゃん。

俺は顔の見えることがない
電話越しに少しにやけてしまった。


「うん。陽奈ちゃん早く逢いたいかも。」

『お?甘えん坊?笑』


そうなのかもしれないな…。

だから俺は否定もせず
話をそらした。


「早く迎えに来てくれねーの?」

『ん。今から迎えいくね!』

「待ってる。」


そう言って電話を切った。


早く帰る準備しねーと。
カバンの中に乱暴に道具を片付け、
帰ろうとした。

あ、窓の鍵閉めねぇと。


俺は窓の鍵に手を伸ばす。


「あ、」


あの一年の教室。
日和ちゃんがバタバタと帰る準備をしていた。
その姿がなんだか面白くて、
俺はつい1人で笑う。


でも多分関わることは
もうないんだろうけどな。


俺は鍵を閉め
教室を後にした。