「…李樹!!!」


「……私は支えただけですよ。
疚しい事はしていません。
そんなに怖い顔をしないで下さいよ。」


『え…?』


怖い顔?


李樹から離れ、見ると無表情の類。


人って無表情が一番怖いよね。


「…朱音、俺のに乗って。」


『え、でも…。』


私の手には李樹のヘルメットがある。


「これ被って、それは返す。」


半ば強引に類のヘルメットを被され、
手にあった李樹のヘルメットは返された。


『う…えぇと……。』


ヘルメットを被されて呆然と突っ立っている。


こ、これはどうすれば良いの…?
類のに乗れって感じなのかな。


周りを見ると皆が呆れたように類を見ている。

当の本人は無表情でバイクに乗ってるけど。


えーっと…皆は何に呆れてるのかな?


「…朱音。」


『ひゃい!!??』


考え事をしてて
いきなり呼ばれたから声が裏返ってしまった。