『奈緒珠さん、元気かな?』


退院してから会ってないもんな。
ストーカー事件の事は話してない。

只でさえ心配掛けたんだもん。


『…ん?』


怒鳴り声が聞こえる。


「ですから!お教え出来ません!!
お帰り下さい!」


『奈緒珠さんがキレてる…。』


遠目にしか見えないけど、
物凄い形相なのは分かる…。


『な、奈緒珠さーん?』


出て行きずらい雰囲気だったけど、
構わず声を掛けた。


「朱音ちゃん!?どうして!」


『奈緒珠さんに会いたくなって!』


「…朱音?」


あれ?誰だろう。


『ッ!!??』


奈緒珠さんに怒鳴られていた
女の人の顔を見て私は絶句した。

その女の人は
私と同じ『朱い瞳』をしていたから。