「他に何か言ってませんでしたか?」


「いや?「直ぐ戻る」ってだけだったんだよな…。
俺も宿題に夢中だったし。」


「おい、燐。起きろ!」


玲が燐の鼻を乱暴に摘(つま)んだ。


「フゴッ!?」


『息止まるって…。』


「鼻、鼻が痛いぃ……。」


真っ赤になった鼻を摩る燐。
若干、うる目になってて可哀想だ。


「なぁ、類って「直ぐ戻る」って
言って出てったよなー?」


「え?う、うん。なんで?」


「まだ帰ってないんですよ。」


部屋を見ても居なかった。

電話に掛けても出ないから
どこで何をしているのか分からない。


「ハッキングしますか。」


李樹がパソコンを開いたと同時に、


ガチャ…


扉が開いた音が聞こえた。