『…変な奴。』


「朱音。」


直ぐ後ろに類の声が聞こえた。


そっか、類が居たから男は逃げたんだ…。


「朱音、俺…。」


『真白に何か言われた…?』


「全部聞いて、喝入れられた。」


真白が類に喝を?


「朱音…抱き締めても良い?」


『…うん。』


優しく引き寄せられ、抱き締められる。


『私、酔ってても求められて嬉しかったよ?
類は嫌だったかもしれないけど。

でも、無かった事にしないで…?』


「…ッ……する訳無いだろ。
「愛してる」って言っただろ?」


え?


『覚えて…?』


「うん。」


『それ、先に言ってよぅ〜!!!!』


「イテテテッ!!」


渾身の力で類の頬を抓(つね)ってやった。