翠side


思いがけない言葉に足を止める。


「俺の兄貴なら、顔見せに来いよ!!」


こんな俺を兄だと思ってくれるのか。


「組なんかに引き取られてロクな育てられ方を
されなかったんだろうと思っていたが…。

その心配はいらなかった様だな?」


良い奴に育った様で安心した。


「気が向いたら会いに行く…。」


今迄、汚い事をして来た俺は
何もかもがどうでも良いと生きて来た。

只、どこかで生きている弟が気になっていた。


幸せか?

ちゃんと不自由無く過ごせてるか?


そんな時、
この依頼を受けて偶然にも見つけたんだ。


「あぁ、待ってる!」


無邪気な笑顔を俺に向けて類は走って行った。


「待ってる…か。」


嬉し過ぎて口角が上がる。


「その前に後片付けをしねぇとな。」


崩れ落ちる落石を避けながら俺も屋敷の外を目指した。


翠sideEND