「俺と関わるとロクな事にならない。」


トン…と背中を押され、行けと促される。

私が戸惑っていると、


「何をしている!」


怒りに顔を歪めたストーカーが現れた。


「…チッ……こんな時に…。」


翠が私を庇う様に前に立つ。


「何故ここに居られるんですか…?
貴女は鎖に繋いでいた筈ですが。」


『そんなの貴方から逃げたい一心で
ぶっ壊して差し上げましたわ。』


流石の私でもそれは無理だけど
翠が疑われちゃうから苦しい嘘をつく。


「あの鎖を…?
ならばもっと頑丈な鎖を用意しなければ……。」


…コイツはどうしてポジティブに考えられる。
盛大に馬鹿なの?

翠なんて笑い堪えてるし。


『うきゃ!』


いきなり後ろに手を引かれ、
類の腕に捕らわれた。


「朱音は俺の婚約者だ、お前なんかに渡さない。」


抱き締められた瞬間、
ようやく安心する事が出来た。