『類がアンタの弟…?』


確かに似てる…顔立ちも瞳も。


「俺も最近知ったんだ。
類が産まれて直ぐに俺は居なくなったからな。
弟が居るって事だけは知ってた。」


類はお母さんと二人暮らしだったって…。


『類はこの事…。』


「知らないだろうな。
俺も海で会った時、目を疑った。
自分にソックリな奴が居たんだからな。」


『でも、消すって!』


「あの後、調べ回って
実の弟だと知った時から消す気は失せた。

関わりなくても弟には変わりない。」


そう言って笑う翠は兄の顔をしていた。


『だから、アイツに何も話さなかったの?
私が類の婚約者だから…。』


「調べた時、類が『樺沢組』に養子として
育てられたと知って絶望した。

俺と違って普通に暮らしてると思ってた。
裏の世界で生きていたなんてな。

でも、お前と幸せそうにしてる顔を見てから
守らねぇとって思った。」


カチン…


足に繋がれた鎖が外された。


『類に、類に会って話して!』


でも、翠は首を縦に振らなかった。