双姫 Ⅱ



『ライターなんて何に。』


「見てれば分かる。」


黒男は火をつけ、
そのまま天井目掛けてライターを投げた。


ジリリリリ-ッ!


煙感知器が察知し、
スプリンクラーが作動した。


『アンタ…どういうつもり?』


折角、拭いた身体が水で濡れていく。


「…………。」


『ちょっと!聞いてんの!?』


何も言わない黒男に苛立ち、
一先ず捕まえようと動くと


グラッ!


『…ッ!?』


「効いてきたみたいだな。」


黒男を見ると口を何かで塞いでいた。


『まさか…く…すり……?』


" 人の恨みが怖いのは
お前が一番理解出来る筈だ。甘く見るなよ? "


ごめん、父さん。甘く見過ぎてたかも…。


眠気に勝てず、私は意識を手放した。