「動かないで。」
背中から類に抱き締められ、また硬直する。
本当はこの場から逃げ出したいけど
動いたらドレスがぬ、脱げちゃう!
『〜〜〜〜〜ッ!!!』
言葉にならない声を我慢する事しか出来ない。
その間にシャッター音は部屋に響く。
こ、これ撮られてるの!?
[朱音!
少し起き上がって類と見つめ合ってみようか!]
起き上がって!?見つめ合う!!??
こんな状態で?
「朱音…「見つめ合え」だって。」
背中越しにクスクスと
面白がってる笑いが聞こえる。
『こ、こんなの朝飯前よ!』
何故だか悔しくてドレスがズレない様に
ゆっくり起き上がって類を見つめた。
見て後悔した。
だって、凄くカッコ良かったから…。
類との距離が余りにも近くて
うるさかった心臓が更に騒がしくなった。