『…アンタの家は政治家だったよね。』
確か有名な。
「あぁ…。
俺は政治家になる為に育てられてた。
それが苦痛だったんだ。
だから、暴走族を始めて反抗したんだ。」
『でも、アンタ自身を見てくれなかった?』
「使い物にならないとでも思ったんだろう。
俺の事は居ない者として
今度は弟を構うようになった。
それから馬鹿のように荒れた。
また見てくれるんじゃないかって…。」
悲しそうな顔で笑う東条は
私の知る東条じゃなくて戸惑ったけど
始めて『東条 魁』を分かった気がした。
『馬鹿だね…本当に馬鹿……ッ。』
苦しんでたのは私だけじゃなかった事も。