「……ほら、言うてみ。もう1回。」
「っ…!!な、何で…!!」
「聞きたい。」
---------ドキッ
私は顔を赤くしながら
また隣に座った秦山に釘付けになる。
…もう1回、って…
(〜〜〜〜っ…!)
何でこんな恥ずかしいことを…
なんて思いつつも
私はひと息ついてから
ゆっくりと名前を呼ぶ。
「…祥一。」
「っ……!
…はぁ、やっぱ堪らんわ…。」
そう言って秦山は
少し顔を赤くしながら頭をかく。
自分で言わせておきながら
照れるところはちょっと可愛い…なんて思ったり。
「…じゃあ俺も。」
「え?」
「…紗香。」
(--------------!!)
-----ドキッ!
不意にそう呼ばれて
私の心臓が
大きく 高鳴った。
「…はは、お前も照れとるな。」
「っ…!だ、だって秦山が突然名前で呼ぶ、から…!!」
恥ずかしくてムキになって言えば
秦山がクスクスと笑いながら
私の頭に手を置いて
わしゃわしゃと撫で回す。
「っ、ちょ、やめてよ!」
「嫌や。紗香が可愛いからしゃーない。」
-------ドキッ!
(うぅ…もう本当にそういうのやめて…。)
さっきからもう
ドキドキが止まらないのに…
これ以上嬉しいこと
しないでよ…。
「………。」
そんなことを考えていれば
ふと秦山の手の動きが止んで
私はハッと顔を上げる。
すると-----
………ちゅ…
(…………!)
唇に当たった感触が
あの日を呼び起こして。
これが何なのか
私に認識させた。
「……紗香。」
--------ドキッ
目の前には
真剣な顔をした …祥一の顔。
愛おしそうな 熱い視線に
目が…逸らせない。
そして
「……好きや。
俺の…彼女になって欲しい。」
そう言った低い声が
私の耳に響いた。

