え…どうしたんだろう?
そう思いながら
秦山?と尋ねるも
反応がなく、ただ私を見つめるだけ。
そして段々と秦山の表情が
驚きから真剣になっていった。
(………秦、山…?)
私が不思議に思いながら見ていれば
……あれ…?
段々
本当に少しずつ
秦山の顔が前のめりになっていって
私の方へ近づいてくる。
(-----------え…?)
それに応じて段々と
瞼が伏しめがちになっていって。
私は少し目を見開いて
そしてその後 私も少しずつ目を伏せていく。
この流れが
ほんの少しの時間なのに
私にとって すごくスローペースに思えた。
「…秦山……。」
あと少しで
お互いの唇が重なる-----という時
私は小さく名前を呼んだ。
すると-----
「………!」
ハッとしたような顔で
寸前のところで秦山が止まる。
そして至近距離の私を見て…
「っ!?
す、すすすまぁぁぁぁぁん!!!!!」
-------ダダダダダ…!!
そう言って顔を真っ赤にしながら
口元を抑えて
ソファから飛び退く秦山。
「っ〜〜〜〜!!?」
自分のしたことが
そんなに恥ずかしいのか
顔を抑えて
少し離れたところでしゃがみ込む。
「秦山……?」
「っ!!す、すまん!!何もせぇへんって言ったのに、こ、こここんなこと…!!」
わぁぁぁぁあ!!!
と照れて頭をわしゃわしゃと掻き回す秦山の姿に
私は思わず プッ!と吹き出す。
(何よ…前に1回やってきたくせに
そんな照れなくても…。)
なんて思いながらクスクス笑っていれば
秦山が不思議そうな顔をして
私を見る。
「な、何がおかしいねん!」
「いや…秦山ってそんなピュアだったっんだと思って。」
そう言えば秦山は少し黙って
それから静かに
少し拗ねながら私に言う。
「…大切にしたいって言ったやろ。
それに…秦山、ちゃう。」
「…え?」
「祥一。」
そう言って
秦山は立ち上がって私のところへ戻ってくる。
-------ドキッ
戻ってきた秦山の表情が
真剣なものに戻っていて
私は思わず胸を鳴らす。

