私が何言ってるの?!何で?!


と慌てながら聞けば


秦山は
1人だと暇だの
1人暮らしは寂しいだの何だのと


お願い〜って押してきた。






「小林、お願い。」

「…で、でも…。」

「何もせぇへんし、な?」

「う……。」

「ええやろ小林…行こうや。」






そう子犬のような目で見てくる秦山の押しに

私は負けて、渋々わかったと頷く。













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「…お、お邪魔します…。」





そう言いながら入る 2度目の秦山宅。


相変わらず綺麗で片付いてらっしゃる。






「今お茶いれるから適当に座って待っとってや〜。」






と言って
適当にカバンを置き キッチンの方へ歩いていく秦山。

私はリビングに入って
前と同じようなところに荷物を置いて

ソファに腰掛けた。





すぐに秦山はお茶を持って
こっちに戻ってくる。






「ん、どうぞ。
ちょい俺着替えてくるから待っとって。」

「あ、うん。ありがとう。」





そう言って秦山はまた立ち上がって
自分の部屋へと向かった。




(……何かすごい、落ち着くなぁ…。)





前にここへ来た時
緊張して落ち着かなかったのに

2度目だからか、すごい落ち着く。



…居心地がいいってこういうことなんだなぁ…。





なんて思いながら
ボーッと部屋を見ていれば

秦山が戻ってきて
すまんすまん、とヘラっと笑いながら
私の隣へ座る。





-----ドキッ






その行動があまりにも自然で

急に近くなった距離に
私は思わずドキッとした。






「…あ、そういえば俺
小林から借りっ放しのCDあったよな?」

「…あ、そうだよ!いつまで借りるつもりなのよ!」

「はは、すまんすまん。
帰りに渡すわ、ごめんな。」






なんて
私の気持ちも知らず 秦山は普通に明るく接してくる。


秦山にとっては
別にこんな距離、友達にもするか…


と私は変に納得して
気にしないようにしていた。







「…せや小林。」

「ん?」








----------なのに…









「…俺のこと名前で呼んでくれへん?」

「………え?」







秦山のせいで

私は気にしないことなんて
できなくなってしまった。