「……ちょ、秦山…。」
「ん?何や、どうしたん。」
「いや、どうしたじゃなくて、近いから!!」
-----現在、帰りの電車の中。
あの朝の宣言通り
他の女子と絡むことなく
私とユカリと秦山の
去年の親友3人グループが復活…したわけだけど
「しゃーないやろ、混んでるんやから。」
「で、でも近すぎでしょ…!?」
秦山はこうやって
私にくっつこうとしてくるのだ。
か、覚悟しろって言われたけど
こんな混んでる車内利用して
目の前に…しかも向かい合わせで立つとか
意図的としたらかなり危ないんですけど…!!
(か、顔近いし…!秦山の胸に顔が当たるっていうか、いい匂いがするっていうか…って違ーーーう!!!)
変な煩悩を追い払って
私は目の前の状況に息を飲む。
秦山が満員電車の中
私を守ろうとして庇ってくれてるのは、分かってる。
…分かってるけど
(この状況、この体制…事故る可能性高すぎて何とも言えない…。)
変に揺れでもすれば…
①私から秦山の胸へドーン!
②秦山の胸が私へドーン!
③タイミング悪くセカンドキス!
………。
(-----い、いやいやいや!!
これはヤバイでしょ!!?)
頭に浮かんでしまった
魔の可能性に 私は息を詰まらせる。
これ、私が変に動いてもアウトだよね。
秦山が動いてもアウトだけど。
(え、どうしよう…これいつまで続くの?皆どこで降りるの?)
なんて頭をグルグル働かせていれば
上からクスッと小さく笑う声が聞こえて
私は上をチラッと見上げる。
「な…何?」
「んー?いや、小林が俺のこと意識しすぎてんなぁと思って、ついな。」
「---?!」
い、意識しすぎ…?!
私は秦山のその言葉に
思わず顔を赤くする。

