私が教室に戻ったのは
3時間目。


1時間目と2時間目は
ユカリに調子が悪いと言って保健室へ行っていた。





(………。)






チラッと秦山を見れば

変わらぬいつもの姿。



近くの女子と話をしながら
授業を受けていた。




(……そう、だよね。秦山はあんなことに動揺したり…しないもんね。)





キスをして動揺している私とは違って
そんなこと慣れているのか
様子の変わらない秦山に

私は1人深く息をついた。





…早く、帰りたい。





今日はもう
秦山の顔を見たくなかった。


というか 誰とも会話をしたくない、と思っていた。






「………。」







教室に帰って来た時に
感じたあの みんなの視線。


誰も何も言わなかったけど

ヒロキと交互に見られたり
ニヤッと笑われたりしたのは分かる。



秦山と仲良いあの女子たちもそうだ。



無視していったけど

何も言われていないのに
説明するのもおかしいし

だからといって
そのままなのも気分が悪くて



このどうしようもない不快感が

今日一日ずっと続くのだった。