なんて
軽く返事を出してしまったけど…
「…斎藤くん。」
「ん?」
「これからどこ行くの?」
いざ放課後になって
斎藤くんと2人で歩いてるのは…私としてはかなり不思議な状況。
だってこんなの
修学旅行で買い出し行かされた以来ないもん。
他は自由行動でずっとユカリと一緒だったし…。
(なんか…緊張する…。)
変な感じが抑えられなくて
思わず身を固くしている私と
何とも思っていないのか
割と普通な態度の斎藤くん。
え、何この差……。
「今日さ、妹の誕生日プレゼント買おうと思って。」
「妹の…?」
へぇ、斎藤くん妹いたんだ。
それも初めて知った。
「女子の買い物は女子に聞いた方が早いかなって。
どこらへん行けばあるかな。」
と私に尋ねてくる斎藤くん。
駅の乗り換え図を見ながら
うーん、と考える。
…ユカリとよく行く場所なら
多分大抵いろんなものが売ってる。
「よし、じゃああそこに行こっか。」
と私が指をさせば
斎藤くんは従いますよ〜といった様子で
おっけー、と返事をする。
…でもこれよくよく考えたらデート、だよね。
いくら秦山が他の子と遊んだりしてるからって
私も同じように他の男子と遊びにいくのって、何かなぁ…。
秦山が好きなのに、同じことしたらもっといけないような気がする。
なんて
私は少し罪悪感を抱きながらも
斎藤くんとは別にそんな気持ちで買い物に付き合うわけじゃない、と
せめてハッキリと心で断言しておいて
買い物に行くことにしよう、と思った。
「…小林ってさ。」
「ん?」
電車に乗り込んでから
隣に立ってる斎藤くんが 私に話しかける。
私は斎藤くんを見て返事をする。
「ハタのこと好きだよね?」
「っ…?!」
(え-------!?)
突然斎藤くんにサラッと聞かれ
私は固まってしまう。
え、何で知ってるの?
私斎藤くんに言ってない…よね?
別に秦山にあからさまに告白したこともないし…
心当たりが 無さすぎる。
「…図星なんだ?」
「う…、な、何で…?」
「見てればわかるよ。」
秦山の行動で
一喜一憂してるじゃん、いつも。
と斎藤くんがフッと笑って
横目で私に視線を向ける。
(私、そんな分かりやすい…のかな。)
斎藤くんがよく人を見てるっていうのもあるけど
それにしても…かも。
確かに気分が一喜一憂してるのは
何と無く自分でもわかる。
「ハタのどこが好きなの?」
「え…それは…。」
どこが好き……か…。
「…何だろう、特別な理由はない…けど。」
何だかんだ…一途なところとか
皆に優しいのも、秦山の長所だと思うし
ある意味色んな人と仲良くできるのは
才能だとも思うし
……何か
「憧れと…たまに見せる照れるとことか
本音のところみたら、何か…きたんだよね。」
こう、心にグッとくるところが…っていうのかな。
私がそんな感じで
ホワホワっと説明すると
斎藤くんは外の景色を見ながら
少し考えるように ふーん…と返す。
「…斎藤くん…?」
斎藤くんがその時何を考えていたのか
私には全く想像がつかなかった。

