(あーー…忘れてた。)
こいつは…昔からそうだった。
私はそう思いながら
中学の頃のことを思い出す。
その容姿の良さから
女子はホイホイ寄ってきて
いつも教室に入れば---
「祥一ぃ、今日遊びに行こうよー。」
「え、今日?
悪い俺今日は用事あんねん。」
「えー!それ今日じゃないとダメなのぉー?」
-----そう、いかにもこんな感じ。
(去年はユカリがいたから
もう女子に絡むのやめるとか
何とか宣言してたけど…)
ユカリが濱崎さんと結ばれた今
あいつはそんな宣言を捨てて
元に戻っているのである。
まぁだからと言って
タラシというわけではないんだけど。
「………。」
私はユカリを連れて
黙って席に着く。
はぁ…何か、去年からこの本性を忘れて
乙女モード全開になっていた自分が
恥ずかしくなってきた。
(はぁ……どうしよう。)
あんなに仲良くしていた去年と比べ
あの人の人脈の広さを考えると
中学からの仲とは言いつつも
やっぱり距離を感じる。
きっと今までみたいに
一緒にお昼食べたりとか…できないんだろうなぁ。
「……はぁ。」
今日2度目の ため息。

