「あ、あずささんだよね?よく京夜から聞くよ。幼馴染なんだよね」
今は幼馴染という言葉が悲しい。
いちばん特別なのは、幼馴染じゃなくてカノジョ。
そんなことわかってるよ。
「あ、はい」
まっすぐに皆植さんの顔を見れない。
嫌な人、って思われたかな?
「私は皆植由梨。よろしくね」
少し微笑んだかと思うとすぐにあの無表情な顔に戻る。
そういえば、皆植さんってあんまり笑わないって聞くな……。
「じゃあ由梨。またあとでな」
「うん、じゃあね」
そう言って、皆植さんは普通に笑った。
きょうちゃんの前では普通に笑うんだ。
それが特別な関係ということが分かって悔しくなる。
きょうちゃんはもう靴を履き替えていた。
慌てて自分も靴を履き替えようとしたとき、腕を掴まれた。
「勘違いしないでね?」
皆植さんが睨んできていた。
そのあまりの恐さにこくっとうなづいてしまう。
目をそらし、皆植さんから逃げるように慌てて校舎を出た。

