X=コタエナシ

「離して。」


がんばって抵抗するものの、自分が思っていたより氷雨君の力は強かった。


「嫌だ。それにこの間、俺のこと教えたから今度は、君の番。」


親指と人差し指で私のあごを持ち上げる。


「分かった。話すからっ…」


これ以上は心臓が持たない。


「ほんとに?」


メガネの隙間から覗く氷雨君の目が、意地悪に笑っていた。


「ほんとに。約束する。私のこと話す。だから…」


「了解。」


やっと開放してくれたものの、握られていた両手首には私のじゃない熱がまだ宿っていた。