「また、運の悪い事に『好きな人』ってのが…俺だったわけ…」


「それは…辛いね…」


『好き』なんて信じちゃだめだ。


「大変だったよ。『お前があいつを横取りした』とか意味のわからない言いがかりつけられて。」


「それから、仲が悪くなったってわけ?」


「そゆこと。」

友情と恋は全くの別物だ。


友達よりも彼氏だの彼女だの。


「これで俺の話は終わり。ごめんね、時間取らせちゃって…」


手を小さく振る氷雨君がどんどん小さくなっていった。


「だから…恋愛なんてしたくないんだよ。」


誰もいなくなった道で言ったその一言は誰にも届かず。



「あれ、なんか夕日が滲んでる…」



あの日の事を思い出し、頬を冷たい何かが伝っていった。