X=コタエナシ

「あの…日和先輩?すいません。氷雨君が。」


『ほんとにね~いつもお疲れだよ咲夜ちゃん。』


長らく聞けてなかった日和先輩の間延びした声。


「あの…。日和先輩、チョコって好きですか?」


氷雨君から聞いて、分かってる事なのに…。と自分で思いながら、会話を繋ぐ。


『分かった!バレンタインの事だね!』


「はい。そうなんです。氷雨君と今話してて…。良かったら日和先輩の分もどうかなって…。氷雨君が。」


ちゃっかり嘘を吐いた。


すると、氷雨君が、携帯を握っている私の手首を掴んで怒り口調で言った。


「日和、それ、言ったの俺じゃねえから。そこんとこよろしく。」


また優雅に本を読む。それだけで絵になるから凄いよね…。


『咲夜ちゃん…あれは、分かり易すぎる嘘だったよ…。もうちょっと頭使お!』


日和先輩に言われちゃったらどうしようも無いですけどね。なんて言えるはず無いし…。


「分かりました!はっきり言います!先輩、チョコ要りますか!」


言った後、恥ずかしくなった。氷雨君がお腹抱えて笑うから。


『いる!あ…でも、咲夜ちゃん…。』


急に先輩が真面目に言い出したと思ったら…


『ちゃんとひー君に本命はあげなよ。』


それだけ言って、電話を切った。


全く、二人揃ってなんて姉弟だ…。