X=コタエナシ

寝転がったままの氷雨君に、手を引かれて。


「んっ…。」


唇が強引に重ねられた。加えて、私の心臓も跳ねる。


(おかしいな…もう、風邪うつっちゃったかな…)


顔が一気に、全身が一気に熱くなるのが分かった。


その途端、下のほうで『ただいま~』と可愛らしい声が聞こえた。


「っ!やべっ…」


ぱっと唇を離して、布団に潜る氷雨君。


「ひー君、熱下がった~?」


カチャ、と扉が開けられた。


「さ、咲夜ちゃん!久しぶり!会いたかったよ~」


熱烈なハグ。


「日和先輩っ…苦しいです…。」


「ごめん、ごめん。ひー君のお見舞い来てくれたの?」


「それ兼先生のパシリです。」


顔の赤みが引かない…。バレないと良いけど…。


「そっか~良かったねひー君。」


やたらと嬉しそうな顔で氷雨君を見つめる。


「じゃ、私はこれで。」


「バイバ~イ。」