X=コタエナシ

「これ、井伊崎(いいざき)から預かってきたよ。連絡諸々だって。」


井伊崎とは、氷雨君の担任の事だ。


「サンキュー。でも、こんなの学校に置いときゃ良かったのに…。」


しょうがないなというような目で見られた。


「先生の粋な計らいでしょ。ありがたく受けとっといてあげなよ。」


滅多に学校を休まない氷雨君の事だ。先生も気になったんだろう。


「だな。」


熱のせいで、いつもより頭がぼーっとしてるのか、氷雨君の笑顔が柔らかいような気がした。私も、それにつられて柔らかく微笑んだ。


「熱、上がってきたかも…。顔、熱い…。」


そう言って、氷雨君が顔を手で隠した。


「何で急に?」


「咲夜のせい…かな?」


何で私のせいなんだ!とツッコミを入れながら、氷雨君の額に手を当ててみる。


「ホントだ…。熱い。だいじょぶ?」


「咲夜、この風邪もらってくんない?」